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用語集 さ
再結晶: 回復が起こる温度よりさらに高温になると、導入されていたひずみを起点に核生成が起こりひずみの少ない結晶粒が多数発生する。その後多数の結晶粒が全面を覆っていき、結晶粒は成長していく。
座屈: 圧縮荷重を付与した時、圧縮軸に対して垂直方向にたわみが発生し急激に荷重が荷重が低下する現象のこと。
サブグレイン: 亜粒界によって区切られた結晶粒のこと。
サブゼロ処理: マルテンサイト変態を起こす鉄鋼材料で用いられる処理で、オーステナイトから焼き入れによりマルテンサイト変態させるときに0℃以下の低温にさらすことによって残留オーステナイトの無いマルテンサイト単相組織を作るために行われる。
残留オーステナイト: 鉄鋼材料をマルテンサイト変態させるとき、冷却速度や冷却温度、組成によってはマルテンサイト単相にならない。この時に残留するオーステナイト領域のことを呼ぶ。
用語集 し
CRSS: Critical Resolved Shear Stress(臨界せん断応力)の略。
CCT曲線: Continuous Cooling Transformation(連続冷却変態)曲線の略。
GPゾーン: GuinierとPrestonにより提唱されたもの。Alの時効過程において、析出相が形成する前の前駆段階として溶質原子が集合したもの。
磁気変態: 例えば鉄鋼材料においてオーステナイト組織を持つ場合は常磁性体であるが、フェライトやマルテンサイト組織では強磁性体となる。このように構成相によって磁気特性が変化すること。
軸比: 単位格子を考えた時、主となる軸、例えばx、y、z軸の原子間距離(もしくは単位格子のそれぞれの長さ)の比のこと。
時効: 母相中に析出物が生成し、強度が上昇すること。
時効硬化: 時効により硬さが上昇すること。
自己拡散: 同種の元素同士であっても互いに原子の移動が発生している。これを自己拡散という。
下降伏点(応力): 降伏現象が起き、一部リューダース帯を形成して塑性変形が起きる箇所に偏りが発生する。このリューダース帯を形成している際の応力値のこと。軟鋼に見られる現象で一般的な金属では確認できないことが多い。
射出成形: 溶融もしくは半溶融した材料を流動させ、金型内に流し込むことで形状を作り込む成形方法。
重力鋳造: 最も一般的な鋳造法。重力のみの力で溶融した金属を鋳型に流し込み凝固させる。
シュミット因子: 臨界せん断応力を求める式、τ=F/A・cosλ・cosφにおいてcosλ・cosφのことを示す。この数値が大きいほど小さい外力ですべり変形を起こすことが可能であることを示し、方位によって数値が異なる。
小傾角粒界: 結晶粒と結晶粒の境界である粒界の方位差が小さく、15°に満たない場合に小傾角粒界と呼ぶ。
焼結: 粉末冶金における現象のことで、高温で加熱すると粒子同士の界面で拡散が起こり互いに結合すること。
晶出: 鋳造などで溶融した金属を凝固させる段階で、液相から固相が形成すること。
状態図: 平衡状態図を参照。
焼鈍: 焼きなましを参照。
焼鈍双晶: 焼きなまし双晶を参照。
ジョグ: 転位が1原子層だけずれたすべり面上に階段状に移動するときにできる。刃状転位、らせん転位ともに観察される。
ショットキー欠陥: 点欠陥である空孔の中でも、ショットキー欠陥とフレンケル欠陥に分類される。ショットキー欠陥は結晶格子中に存在した原子が移動し、空孔のみが観察される状態。
靭性: 材料の壊れにくさを表す性質で、動的な荷重や衝撃に対するものなどによって評価される。
浸炭: 鉄鋼材料で主に用いられ、表面など一部に炭素を拡散させて耐摩耗性などの向上を図ること。
侵入型: 金属が固溶体などを作るときに、母相の原子位置と原子位置の隙間に対して溶質原子が入り込むこと。
用語集 す
ステレオ投影図: ウルフネットを参照。
スピノーダル分解: 2相分離反応が起こる系において、固溶状態から析出のように別々の相として分離していく現象。析出はクラスタやGPゾーンの形成が必要であるが、スピノーダル分解は必要とせず濃度ゆらぎによるものとされる。
すべり系: 金属のすべりは原子が最密に存在する面および方向で起こりやすく、その種類は等価な面・方向を考えると多数存在するが、これらの組み合わせをすべり系と呼ぶ。
スリット加工: 金属では圧延加工における工程に含まれ、流れてくる板を刃物で長さ方向に切断する加工のこと。
用語集 せ
整合: 母相と母相中に存在する第二相粒子の界面において結晶構造が異なる時、界面に規則正しい原子配列を持つこと。
整合界面: 整合な界面。
整合ひずみ: 整合界面を持つとき、その界面エネルギーは小さいが無理矢理格子をひずませて整合になることがある。この時に生じるひずみのこと。
脆性: 延性に対する言葉で、ほとんど塑性変形を起こすことなく破壊に至る性質を持つもの。
製錬: 金属は元々、鉄で言えば鉄鉱石、アルミニウムで言えばボーキサイトのように酸化したり不純物を多量に含んでいる。これを純金属とするために行われる分離処理を製錬と呼び、大量の電気や熱などエネルギーを使用する。
SEM: Scanning Electron Microscopeの略。走査型電子顕微鏡を参照。
析出: 母相中に固溶していた溶質原子が、結晶を形成して母相中に第二相として発生する現象のこと。
析出強化: 析出を用いた強化機構。
積層欠陥: 格子欠陥の中でも面欠陥に分類される。結晶構造を同一方向に原子が配列した層が積み重なっていると考えたときに、原子が横方向に並んだA層の上に次の層が積み重なる場合、最密となるためには原子4つの中心に原子が来る必要があり、これが横方向に並んだ原子層をB層とする。更にB層の上に同様に原子4つの中心に原子が来るときをC層とすると、更に次の層は元のA層と同じ原子位置に戻ってくる。このように原子層が最密な構造を保って積み重なると想定すると、ABCABCABC・・・と層が積み重なる。この配列が一部乱れてABCBCABC・・・のようになることを積層欠陥と呼ぶ。
積層欠陥エネルギー: 積層欠陥を引き起こすために必要なエネルギーのことで、エネルギーが低いと拡張転位を伴うためエネルギーが高いものと比較すると交差すべりしにくい。
切削加工: 金属を削り出し、所望の形状を作り込む時に用いる加工方法。基本的に他の加工方法と比較すると時間とコストがかかる。
セレーション: Al-Mgに代表される現象で、応力-ひずみ線図上にギザギザとした応力の増減が見られること。
遷移クリープ: クリープは段階的に律速過程が変わり、遷移クリープはクリープ現象の初期に見られる。金属においてクリープは基本的には高温で行われることが多く、熱を受けることにより転位の移動が起きる。その結果最初期には変形が大きく進行するが、やがて移動した転位の集積により硬化現象も同時に起こるようになる。そのため徐々に変形量は低下し一定の変形率に落ち着く。
線欠陥: 点欠陥や面欠陥と並んで格子欠陥に分類され、転位のような欠陥がある。
全伸び: 均一伸びと不均一伸びを足し合わせた全体の伸び。
用語集 そ
相互拡散: 濃度差のあるAとBにおいて互いに原子の移動が起こること。
走査型電子顕微鏡: Scanning Electron Microscope(SEM)。一般的に数kV~数十kV程度の電圧で加速された電子線を材料に照射し走査させることによって、表面性状や組成情報を得ることができる顕微鏡のこと。電子線の照射によって発生する二次電子によって形状、反射電子やX線によって組成の情報が判別でき、他にもEBSD解析によって結晶方位などの情報を得ることもできる。
双晶: すべりと異なる変形機構の一種で、とある原子面を境に鏡写しの原子配列になる界面を形成する応力緩和現象の一つ。この界面は双晶面であり界面を形成することから、すべり変形とは異なり原子配列が大きく変化するため双晶面を境に方位が変わる。
塑性不安定点: 引張などの変形において、全体が均一に伸びる変形領域から局所変形により不均一伸びへと切り替わる点のこと。引張においては局所的にひずみが集中した箇所にネッキングが発生する現象。
塑性変形: 不可逆的な変形で、弾性的な変形領域を超えて永久ひずみが残る領域における変形のこと。変形前と変形後で導入された塑性ひずみの分だけ変形が残る。
塑性ひずみ: 塑性変形によって発生したひずみのこと。不可逆的な性質を持ち、変形前の状態には戻らない永久ひずみが残る。