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用語集 は
バーガースベクトル: 単位格子における原子から原子の距離を表したベクトルのことで、転位によってはすべり方向が異なりこのベクトルを用いることでその性質を表現することができる。
パイエルスナバロ力: 転位が移動するために必要なせん断力で、ポアソン比νと剛性率よりτ=2G/(1-ν)・exp[-2π/(1-ν)]で表される。
破壊靭性: 破壊が起こる時の臨界値を示したもので、KCと称する。また破壊のモードによってI II Ⅲが符号として用いられ、KⅠCなどと呼ばれる。
刃状転位: 転位の中でもすべり面に対して垂直方向に原子面が一層分挿入された形をとり、その形状が刃のようであることから刃状転位と呼ばれる。この一層分の原子面を余分な半面と呼ぶこともある。
破断伸び: 全伸びを参照。
半値幅: X線回折による分析では結晶構造によって回折が起こる角度が変わり、そのX線入射角度に対応したピークが得られる。このピークの高さhの半分(1/2h)の位置におけるピーク幅のことを半値幅(半価幅)という。
用語集 ひ
BCC: Body Centered Cubic(体心立方格子)の略。
PF: Pole Figure(極点図)の略。
引抜加工: 押出加工のように後方からダイスに材料を押し込むものと逆で、ダイスを通した材料の先端を掴み引張ながら加工する方法。ダイスを通すことで加工したい直径にすることができ、中空のパイプや径が細い電線に用いられ連続かつ高精度な加工が可能である。
ひげ結晶: ウィスカを参照。
非晶質: アモルファスを参照。
ひずみ: 変形した量を数値化したもので、例えばL0の長さのものを長さLまで引っ張ったとき、ε=(L-L0)/L0で定義される。
ひずみ速度依存性: ひずみを加える速度によって機械的性質が変化する性質のこと。FCC構造を持つ金属よりもBCC構造を持つ金属の方が一般的に依存性は大きい。
非整合界面: 母相と母相中に存在する第二相粒子の界面において結晶構造が異なる時、規則正しい原子配列を持たず整合性が保たれていない状態にある界面のこと。原子配列によるひずみは無いが、界面エネルギーを生じる。
引張応力: 引張荷重を加えた時に発生する応力のこと。
ヒュームロザリーの法則: 合金や金属間化合物の形成について表現された法則である。固溶体を形成するためには例えば2種類の元素を考えたとき①原子半径の差が15%以内、②電気的陰性度が大きく異なっていないことが固溶できる量に影響し、それぞれ同程度の因子を持つ場合には、原子価の低い方に高い方が固溶しやすい。
疲労: 金属は降伏応力以下の荷重であっても繰り返し負荷をかけることによって破断に至る。これを疲労と呼び、10^4サイクル以下における疲労を低サイクル疲労、それ以上を高サイクル疲労と呼ぶ。
疲労限: 疲労によって破壊が起こる応力の最低値のこと。bcc構造では明確な疲労限が得られるが、fcc構造では明確でない。
ピン止効果: 転位は外部からのエネルギーによって移動する性質を持つが、これを妨げる効果のこと。析出物や晶出物のようなものによって起きる。
用語集 ふ
フィックの法則: 拡散に関する法則。第一法則は拡散する溶質原子の量Jを拡散係数Dと濃度勾配dc/dxによりx方向の一次元的にJ=Ddc/dxで表すことができる(dc/dxは負)。第二法則は時間変化を考慮した法則で、三次元的にδc/δt=D(δ^2c/δx^2+δ^2c/δy^2+δ^2c/δz^2)で示される。
フェライト: 通称α相。鉄の相の一種で、体心立方構造を持つ。また磁性を持つ。
不完全転位: 単位格子における原子から原子の距離を表した転位である完全転位と異なり、これを持たないバーガースベクトルを持つ転位のこと。部分転位とも呼ぶ。
不均一伸び: 均一な変形が終了し、塑性不安定点に達してネッキングが開始してから破断に至るまでの伸び。
複合材料: 2種類以上の材料を混ぜ合わせたものでFRP(Fiber Reinforced Plastic)のような繊維強化型や分散強化型などが該当する。金属基複合材料(MMC)では例えばアルミニウムにSiCやAl2O3、カーボンファイバーといったセラミックス系の繊維・粒子もしくは炭素繊維を混ぜ合わせることで元の金属単体では得られない機械的性質を得ることができる。
複合則: 例えば金属Mと繊維Fを複合化した時、混合割合を体積分率Vとしてその応力σは、σ=σM(1-VF)+σF・VFと表される。これを複合則と呼び、強度や弾性率などの特性で考慮される。
腐食: 化学的、電気化学的に起こる現象で、アルカリや酸によって酸化物を介して脆い腐食生成物を形成したり、電気を流した時にイオン化する。これが削れたり流出していくことで表面から均一に流れ出て行くものもあれば、孔が空いたり(孔食)、粒界を選択的に腐食する(粒界腐食)こともある。
不整合: 非整合を参照。
不動態: 通常の腐食が進行しやすい活性状態と比較して、進行しにくい状態になったもの。ステンレスやアルミニウムなどで見られ、表面に緻密な皮膜を形成することにより発現する。
不動転位: 転位のバーガースベクトルがすべり面に対して垂直の時、その転位はすべり面に移動することができない。これを不動転位と呼ぶ。
部分転位: 不完全転位を参照。
フランクリード源: 転位の増殖機構において転位が発生する場所のこと。転位の両端が異なるすべり面の転位と繋がっている場合、両方のすべり面が活動すれば両転位とも運動できるが、前者の転位のみ活動できる状態でも転位は動けない。この転位の両端は固定されるがせん断力を受けて転位は弓状に張り出していく。この張り出しは徐々に大きくなり円形につながることでループを作り出す。
プレス: 金型に対して金属板などを押し込んだり、せん断力をかけて打ち抜くことで形状を作り込む加工のこと。
フレンケル欠陥: 点欠陥である空孔の中でも、ショットキー欠陥とフレンケル欠陥に分類される。フレンケル欠陥は結晶格子中に存在した原子が移動して空孔ができ、移動した原子は格子間原子となった状態。
粉末冶金: 金属粉末を用いて形状を作る手法で、複雑形状などにも対応でき高い寸法精度で成形することができる。
用語集 へ
平衡状態図: 金属は融点や得られる相などが合金組成によって変化する。これを組成ごとに示したいわば地図のようなもので、平衡状態における反応や相変態などが示される。主に2元系と3元系で図示される。
へき開: 脆性的な破断に伴う壊れ方の一つで、特定の方位に割れやすい性質を持つもので起こる。
変形双晶: 塑性変形により発生する双晶のことで、焼きなまし双晶と異なりその界面に双晶面を形成しない。界面では原子配列が鏡映対照にならないため転位を形成する。
偏析: 鋳造などのプロセスにおいて金属が溶融・凝固する過程で、固相界面付近の液相と界面から離れた液相に濃度差が発生することによって起こる合金元素の濃度ばらつき。
変態: 熱処理などによって金属の結晶構造が変化し、異なる性質を持つ相に変わること。
平面ひずみ: ある剛体においてxyz方向を考えた時、ある長さ方向xが十分に長い(大きい)場合に厚さ方向yに平行な荷重をxz面が受けるとすると、そのx方向のひずみを無視することができる。つまり十分にx方向に長いxz面がy方向に垂直な力を受ける時、x方向に変形しない状態のこと。
用語集 ほ
ポアソン比: 金属に荷重を加えた時、例えば引張荷重であれば引張軸に伸び、引張軸と垂直方向に縮む。このように縦と横のひずみ量は金属の種類によって異なり、その比をポアソン比と呼ぶ。
ホールペッチ則: 結晶粒径dと降伏応力σyの関係を表した経験則で、σy=σ0+kd^(-1/2)の式で示される。この時σ0は摩擦応力、kは金属の種類によって変化する係数である。式の通り、結晶粒径が小さくなるにつれて降伏応力は上昇する。
包晶: 例えばα固溶体とβ固溶体が形成する系だとすると、冷却過程においてα固溶体が先に形成しその後β固溶体ができるときにα固溶体を包み込むようにしてβ固溶体が侵食し単一相になる。この現象を包晶反応という。
防食: 金属は腐食により強度低下や延性の低下、その他物性が低下するため構造体においては深刻な問題である。これを防ぐために講じる対策のこと。
母相: 合金中の主元素が大きな割合を占める相のこと。
ポリゴニゼーション: すべり面上にランダムに形成した転位が、熱処理によって規則的かつ直線的に再配列すること。