ローマスリー診断基準は三回改定
過敏性腸症候群(IBS)の世界的な診断基準としてローマスリー診断基準が定義されています。
このローマスリー診断基準は、世界中の膨大なデーターを専門家が三度に渡って議論して作成されたものです。1990年に初版、第二版が1999年に、最後は2006年にスリー、第三版になった診断基準です。
専門家が長い期間をかけ多くのデーターを使って何度もの議論の末決められた診断基準ですので、過敏性腸症候群での重要なポイントだけを押さえ、無駄がなく信頼性の高い診断基準です。
ローマスリー診断基準の内容
- 腹痛あるいは腹部不快感が、最近一ヶ月間の内少なくとも三日以上あり以下の二つ以上に該当する。
- 排便によって症状が改善する
- 排便頻度の変化で始まる
- 便の形状の変化で始まる
このほか便の形状で下痢型に該当するのか、便秘型に該当するのか、あるいは交代型に該当するのかが分類されます。また、下痢型・便秘型・交代型に該当しないもの、つまりガス型などは、分類不能型とされています。
また、内視鏡などでの検査を行っても、器質的な異常は認められないこともこの診断基準で大切な条件です。以上のようにローマスリー診断基準は、複雑な診断基準ではありません。とはいえ、このページをご覧いただいている方は、ローマスリー診断基準のどこかに該当するはずです。筆者の場合には上記の項目のほとんどに該当します。
日本のBMWクラブ診断基準
ローマスリー診断基準のほかに、日本の状況に合わせた診断基準として1995年に作られたBMWクラブがあります。なんだか某高級自動車メーカーのようですが、BMWはBowel Motility Workshop Clubを略したものです。ローマスリー診断基準の初版をもとにしているため、内容は似通っており、要になる部分は共通です。
- 1. 腹痛、腹部不快感或は腹部膨満感がある。
- 2. 便通異常がある。
上記をひと月以上の期間繰り返す。
- 1. 排便の回数が変化。
- 2. 便の状態が変化。
上記がひとつ以上該当する。
このほか器質的な異常がないことを検査で確認されますが、検査せずとも過敏性腸症候群と認められることもあります。
ローマスリー診断基準、BMWクラブ診断基準のどちらが採用されて診断に使われるのかですが、医者が書いた書籍を見る限りローマスリー診断基準しか見かけたことがありません。日本に於いては、恐らくローマスリー診断基準の方が一般的な診断基準になっているものと思います。